花火特集2016

花火特集2019

※2019年時の内容です。

待ちに待った花火シーズン到来!でも、今年は去年と違う視点で花火を深く楽しみたい。

そんなあなたにお届けする、花火がもっと好きになる特別企画!



「平成花火進化論」小西亨一郎

 

中国で生まれ、武器として欧州を経て日本に入ってきた火薬は、戦国の世の終わりを経て、日本人の美意識と、平和の象徴として異次元の進化を遂げてきたのです。
「花火は日本文化の最高傑作である」と確信するハミングツアー社長小柳と20年来の友人である、花火評論家の小西亨一郎氏より今年も寄稿頂きました。

大曲全国花火競技大会イメージ  写真提供:大仙市
大曲全国花火競技大会イメージ 写真提供:大仙市

 新たな元号「令和」が幕開けた。ここで、花火における平成時代(1989~2019)の30年間を振り返ってみたい。
 極論すると、平成年間ほど、花火を取り巻く環境が劇的に変化した時代はないと考える。つまり、①情報、②インフラ、③技術の面、すべてにおいて大いなる進化を遂げた画期的な時代だった。
 情報については、インターネットの普及が大きい。それ以前は、花火行脚するにも、主催者に直接電話をかけ情報を探り、宿を確保し、切符を手配し、現地で迷いながら地図を片手に花火会場に到着するといった手探りの旅だった。しかし、平成6年(1995)以降、急速にインターネットが普及し、検索が簡単になり、チケットや宿、切符の手配までネット上で容易にできるようになった。花火情報もHPやSNSやYoutubeで検索や情報交換まで瞬時に可能となった。こうして、インターネット情報を巧みに駆使して、花火関連情報を得ることができるようになり、今では比較できないほどの膨大な情報量の中から、選択できる便利な世の中となった。
 インフラについては、大曲を例にあげると、平成8年(1997)の秋田新幹線、東北自動車道秋田道の開通といった高速交通体系が整ったことが、観客数を大幅に増やしていった最大の要因だ。それにより、それまで30万人台だった観光客が、平成22年(2010)の大曲の花火100年記念大会で、ピークの80万人に達した。また、首都圏の花火ファンの視点からみれば、北陸新幹線などの開通によって、信越地区の花火大会など日帰り可能なエリアとなったことも、観客数を増やした要因といえよう。
 技術の進化は、花火作家の皆様のたゆまぬ努力が花を開いた「革新の時代」と位置づけられよう。割物花火においては、平成5年(1994)に四重芯(菊屋小幡花火店)、平成16年(2005)に五重芯(野村花火工業)、という高度な多重芯花火が登場したことにより、多重芯に挑戦する花火作家が増え、割物花火の技術向上が一気に加速した。色彩においてもパステルカラー(中間色)も可能となった。花火の星の改良も見逃せない。グラデーション変化星や時間差変色星といった手の込んだ花火も登場した。また、高速点滅花火や明るい高温の星が開発され、眩い星も登場した。立体的型物花火やどの角度からも同じに見える八方咲き花火など「花火の3D化」も進んだ。このように、平成年間は、劇的なほど技術の進歩が見られる「革新の時代」だったといえよう。
 平成時代の花火の進化は、演出面でも遠隔操作のコンピュータ点火が当たり前になり、安全性をもたらした。新たに迎えた「令和」の花火は、どこに向かおうとしているのだろうか。花火のエンターティメント性の追及、エコを考えた花火づくり、安全性を顧慮した花火の開発、無線点火装置など花火を取り巻く環境の変化に対応した花火つくりが急務である。新たな時代の「花火技術の進化」を見守りたいと思う。


【小西亨一郎】

花火の街「大曲」生まれ。「花火研究」をライフワーク。日本ソムリエ協会秋田地区長。「大曲の花火ガイドブック」の企画・主筆。花火とワイン(日本酒含む)をこよなく愛する!


「令和元年」に絶対に見るべき花火大会 BEST10★

 

自称花火マニアで花火鑑賞士でもあるハミングツアーの社長小柳が、混雑度やツアー料金、大会運営や桟敷席、所要時間や打上数による「見栄え」などを加味して、今年ハミングタイム読者にお勧めしたい大会のランキングを作りました。

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