ピックアップアーティスト

2023年ハミングタイム冬号掲載

文太郎

新潟で聴き入るシャンソン その歌声は更に甘く切ない


文太郎…澁谷文太郎と言った方がピンとくる方も多いだろう。TeNY「夕方ワイド新潟一番!」で2019年までの10年間「いい旅・新潟」の旅人を務めたことから、県内では知る人も多い。

彼の歌声をはじめて聞いたのは15年前、にいがた音楽鑑賞会でのステージでシャンソン歌手のクミコさんのゲストだったと記憶している。

2006年から本格的にソロ歌手として活動を始めて間もない頃だったが、魂を歌うクミコさんとは別なベクトル、つまり「甘く、切なく、爽やか」なのだ。

長身の甘いマスクに3オクターブと言われる伸びのある音域、ポップスや映画音楽、ジャズナンバーと、今までのシャンソン歌手のイメージとは異なるアップデートされたステージに、観客の女性たちが釘付けになっていたのが今も想い出される。

シャンソンとは欧州では「フランス語の歌」を広く指す呼称だが、日本でのシャンソンは「薄暗い酒場で愛の歌を切々と歌う」イメージが強く、日本のシンガーでは、淡谷のり子、越路吹雪、美輪明宏、青江三奈、戸川昌子、金子由香利らの名前が思い浮かぶ。

そんなステレオタイプで語られることが多い、シャンソンに対して敷居を高くされてしまったのは、ジャズやクラシックなども同じくとても残念で仕方ない。

26年目を迎え春の装いを見せる3月の新潟で、この季節ならではのポップなステージに期待したい。

(小柳はじめ)


■ 文太郎プロフィール

新潟市出身。昭和50年3月2日生まれ。

'98年よりライヴ活動、京都四条「南座」でのシャンソンフェスティバルを始め、数々のコンサートに参加。'03年日本アマチュアシャンソンコンクール全国大会出場。以後、全国各地で多彩なコンサート活動を展開。2006 年、都内初リサイタル。以降毎年、東京、京都、郷里である新潟の他全国各地でコンサートを開催。

2018,19年に20周年記念として通算7枚目となるCDアルバム2種発売。

シャンソン・カンツォーネにとどまらず、映画音楽、ミュージカルと幅広いプログラムのコンサートに挑戦。

2023年は活動25周年を迎え、独自の世界観を構築する、本格派男性ヴォーカリストである。