ピックアップアーティスト

2023年ハミングタイム春号掲載

久宝 留理子

夢に向けてがんばり成長する女性像

始まりはKUBOHの音楽だったのだろうか?


90年代の激変期を駆け抜けたGiRLPOP のトップランナー

歌謡曲やアイドル全盛の1980年代。音楽の流通手段はレコード盤からCDへと移行し、ピンク・レディーの解散、山口百恵の結婚と引退、海外ではジョン・レノンの射殺事件が衝撃を与えた。

その移行期であり端境期とも言える1990年代初頭は、少女ポップス即ちgirl とpops を組み合わせたGiRLPOPが花開いた年代だ。

神戸で生まれ育った久宝留理子は、高校卒業と共に上京し、一般の事務職をしながらライブハウスで音楽活動を続けたという。

長い下積み生活の中、世間から知られる存在になったキッカケは、1993年発売の9枚目のシングル「男」だった。「銀座ジュエリーマキ」の「カメリアダイアモンド」CFソングに起用された曲は、スピード感と韻を巧みに操った名曲でロングセールスを記録。その年の大晦日、紅白歌合戦初出場をつかみ取った。

「女性ポップシンガー」として新たなジャンルに先鞭を付けた久宝留理子は、翌年「早くしてよ」で2年連続の紅白出場を果たし、安室奈美恵や浜崎あゆみ等「歌姫」たちへの流れを作り、その後、宇多田ヒカルやMISIA 等の女性R&Bブームへとバトンはつながれていった。

音楽業界の大きなうねりの中で彼女はコンスタントに曲を発表し結婚。二人の育児やご主人の壮絶な闘病生活を支え、2020年にはデビュー30周年を迎えた。

当時から全く色褪せない力強い歌唱と「真っ直ぐ前」へ向かう気持ちを鼓舞させるメロディーライン。年齢を重ねても音楽に正対する気概を持ち続ける姿は、応援したいアーティストナンバーワンだ。

(小柳はじめ


■ プロフィール

高校在学中(‘87 年)にチャレンジした『CBS ソニー・オーディション』でグランプリ受賞。‘93 年シングル「男」が大ブレイク。

「男」と共に代表曲となった「早くしてよ」をはじめ「さよなら」「次の夢」などコンスタントにリリースを続ける。

ライブ活動を中心に舞台、イベント出演を行い日本を代表する女性シンガーとして、その歌唱力は高く評価されている。

現在、デビュー32 周年を迎え、新曲『サクラサク空の下で』をweb で公開、ファンクラブもIT を活用した新たなスタイルで復活するなど、精力的に活動中。また、アルバム制作も現在進行中。

歌詞や楽曲提供等も行っている。