ピックアップアーティスト

2024年ハミングタイム冬号掲載

宮本貴奈

ピアノ1台で“一人オーケストラ”

ジャンルを超越した音の魔術師


『ハミングタイム』誌上には度々登場するアーティスト名に"誰?"と思っている読者の方も多いと思うが、「本業は」と敢えて言うのであればジャズピアニスト。

 しかし活動の幅はジャズ界に留まらず、ポップス、演歌、オーケストラ編曲、音楽監督、国立音大の現役講師と、音楽に関する事柄全てとも言うべき広い守備範囲は「マルチミュージシャン」と言った方がしっくり来る。

 ユネスコ無形文化遺産に登録された際、出身地の「結城紬親善大使」に任命されているからか大和撫子の雰囲気を纏うが、アメリカを中心に海外で20年以上も過ごした筋金入りのバイリンガルで、名門バークリー音楽大学を学費免除の特待生として卒業後、ジョージア州立大学ジャズ教育学修士課程に進み、同大学の講師も努めた圧巻の経歴を持ち、昨年からはミューザ川崎シンフォニーホールのジャズ部門ホールアドバイザーに就任するなど、愛娘の育児をしながらの多忙ぶりには脱帽する。

 私が始めてリアル宮本貴奈の演奏を聴いたのは、帰国後しばらくした頃、新発田での公演で中西圭三(Vo)+狩野泰一(篠笛)とのユニット「WAーOTO」。その後、八神純子のアコースティックVersionのピアノでは一人で5人分くらいの仕事ぶりに、すっ

かり填まってしまい、佐藤竹善とのホールライブを始め多くのコンサートを企画してきた。

 彼女のアレンジや演奏は「物語が見えるよう」と例えられ、多くのミュージシャンから絶賛されておりオファーが絶えないが、ホストとして「音楽を心から楽しみたい!」と言うゲストらを招く企画"TakanaFriendshipConcert"をシリーズ企画をスタート。大絶賛の初回、中西圭三に続き、新春には三条出身のTOKUとのコラボが決まり、早々に完

売のため追加で夜公演が決定した。

 混沌とした今の時代、年の初めに日常を忘れ、音楽の海に漂って見ては如何だろう。

(小柳はじめ)


宮本 貴奈プロフィール

ピアニスト・作編曲家。

物語が見えるようなサウンドで、ジャズ、ポップスから弾き語り、オーケストラまで幅広く活躍。米英20 年在住、約30 カ国で演奏。

バークリー音大卒後、エドマンジャズピアノ大会で全米優勝、参加作が米グラミー2 部門ノミネート。

「アトランタベストジャズ(2 年連続)」「ジョージア州で最も影響力のある女性」他、受賞多数。ジョージア州立大修士課程卒。

2013 年帰国、八神純子を始め多くのアーティストと共演。国立音大講師。

2020年【ワンダフル・ワールド】発表、ミュージックペンクラブ音楽賞全ポピュラー部門最優秀作品賞受賞。

2023 年4 月、ミューザ川崎シンフォニーホールのホールアドバイザー(ジャズ部門)就任。