レストランやお菓子屋さんで見かける色鮮やかな花びら。
きれい!でも食べられるの?と不思議に思う人もいるかもしれません。
実はこれらの花は立派な食用花。
花の新しい楽しみ方“エディブルフラワー(食用花)”について紹介します。
食用花(エディブルフラワー)のパイオニア
お皿に咲く花々
新潟県阿賀野市、のどかな水田地帯の中にぽつんと佇む脇坂園芸のハウスでは色とりどりの花が咲き、スタッフが手作業で丁寧に花の摘み取りをしています。
元々は観賞用の花を生産し、県内のホームセンターなどに納めていた脇坂さん。
2008年のリーマンショックや2011年の東日本の震災、また園芸人口の減少で観賞用の花の需要が落ち込み、何か新しい商品を手がけようと試行錯誤した中で八年前に出会ったのがエディブルフラワーでした。
当時はまだ食用花の生産農家も少なく、花の種類や色数も限られていた中、持ち前の好奇心で新しい食用花の開拓を始め、現在では30種程を扱うようになりました。業界の中でもパイオニア的な存在となり、全国から同業者がノウハウを学びに訪れることも多いそうです。
エディブルフラワーの魅力は何と言っても鮮やかで多彩な色彩。メインの食材にはならずとも、現代的なこだわりを持った料理人達にとって一皿の完成度を上げるアクセントとして欠かせないアイテムになっています。
実際に育てている花を食べさせてもらうと、酸味のあるもの、ハーブのような香りのあるもの等、思った以上に味や食感に変化があることに驚かされました。
また料理人だけではなく一般の方にも気軽にエディブルフラワーを使ってもらえるよう、料理やお菓子づくりへの取り入れ方を提案するなど積極的に活動しています。
食用花専用のハウスに一歩入ると赤・黄・紫などカラフルな花畑が広がります。マリーゴールドなどの身近な花も、食用として育てられていることにびっくり!
咲いている花を摘んでそのままパクリ。花ごとに味、香り、食感が全く違います。
食用花生産は手作業が多く大変な手間と労力がかかります。手摘みした後、花に虫が付いていないか1輪づつ丁寧に確認してから出荷されます。
エディブルガーデン ソエル(株式会社 脇坂園芸)
脇坂園芸直営のショップでは、エディブルフラワーや花を使った加工品が購入できます。
販売だけでなく、人々が集まり憩える場所にするのが目標だそうです。
阿賀野市境新209
TEL. 0250-62-6772
営業:金・土・日 11:00~15:00
ホームページ:http://wakisaka-engei.com/
芳しい香りに魅せられて
香りまるごと バラを味わう
全国でも珍しい食用バラの有機栽培に挑む若きファーマー
新潟市南区、大小様々な鉢植えとハウスが並ぶ鉢花生産農家「石附農園」。
こちらでは一般的な園芸用鉢植えの他に、全国でも珍しいバラに特化したエディブルフラワーの生産を行っています。
農園を運営するのは三代目となる石附正志さん。当初、先代と同じ鉢植え花木を生産していましたが、「食用の花=エディブルフラワー」の存在を知り、一輪の薫り高いバラに出会ったことで「エディブルローズ(食用バラ)」生産への挑戦が始まります。元々病気に弱く育てるのが大変なバラですが、食用にするためには安心・安全が第一。大変な苦労の末、日本農林規格JAS法、通称「有機JAS」の認可を受けたハウスで化学農薬・化学肥料に頼らない完全有機農法でのバラ生産を実現しました。
世にバラの品種は数多くありますが、その中から育てるバラを選ぶ基準は「人を感動させられるもの」。育てやすさを度外視し、美しい見た目・香りや味・食感が良い品種を探して試行錯誤を繰り返し、現在は一年を通して二〇品種程の食用バラを取り扱っています。
バラの花弁には豊富な食物繊維やビタミン、ポリフェノールが含まれており、お肌の活性化や免疫力向上、更年期障害の軽減などの効果も期待されています。
現在は新潟市内から県内外のホテルや結婚式場、お菓子屋さんなど、人生の節目や記念日を祝う場面で広く活用されています。
有機JAS認可を受けたハウスに特別に入らせていただきました。バラの有機栽培は前例も少なく、現在も手探りで新しい栽培方法を試したり、品種の試験栽培を行っています。
石附正志さん
花びらを口に含むと、甘い香りと柔らかい舌触りが楽しめます。苦みのあるものから淡泊なものまで味も様々。
株式会社アンジュール(石附農園)
新潟市南区堀掛465-1
TEL. 050-3558-1162
営業:月~土 9:00~17:00
https://www.unjour-inc.net/
公式オンラインショップ「LAPIS ROSEA(ラピスロゼア)」
https://lapis-rosea.com/
※衛生管理等の観点よりハウス内の見学はお断りさせて頂いております