ユネスコ食文化創造都市 認定10周年記念

〈特集〉鶴岡の食文化を楽しむ


~鶴岡の人が待ちわびる春待ち食材「サクラマス」と「孟宗」~ 

一般社団法人DEGAM鶴岡ツーリズムビューロー 中 野  律 

 

 四季のある日本には季節の変化を感じ、様々な形で四季の移ろいや自然の美しさを楽しむ文化が多くあります。鶴岡では古くから農林水産業が盛んなため、多くの恵みを与えてくれる自然に対して畏敬の念、畏怖の念が強く、今もなお年中行事が大切に継承されています。

 山形県の魚に選ばれている「サクラマス」は、豊穣や豊漁と共に業につく人々の安全を祈願する春まつりのお膳にあがるごちそう食材です。3月~4月にかけて産卵のために遡上するサクラマスは桜色の身としっとり上品な脂が特徴のとてもおいしい魚です。漁獲量が少なく高級魚ですが、鶴岡の人にとっては春を待ちわびる大切な魚です。

 他にも鶴岡人の食へのこだわりは強く、日常では鶴岡の旬の食材の出始めを楽しむ「はしりもの」、一番おいしい時期を楽しむ「さかりもの」、季節の終わりに来年までのしばしのお別れ、また来年おいしく食べられますようにと願う「なごりもの」の3つの味を楽しみます。

 そんな地物の食材を楽しむ鶴岡人にとって異例な食材が「孟宗」です。孟宗だけは鶴岡産を待てずに九州産が出回る3月頃から次々に北上する孟宗産地を追いかけ、地物が出回る5月末あたりまで様々な孟宗料理を楽しみます。なかでも、ざく切りした孟宗と油揚げ(厚揚げ)、しいたけを具材に酒粕と味噌で味付けした「孟宗汁」は、春の代表的な郷土料理として家庭で楽しむ他、まつりや祝い事のお膳にも上がる逸品です。

 こうした自然と共存する食文化が特徴の鶴岡市はユネスコ食文化創造都市に認定され今年で10周年を迎えます。認定10周年を記念し2023年に国立科学博物館で開催され好評を博した特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」が、鶴岡にやってきます。身近な「食」について考え、楽しむ春を体験しに鶴岡に来てみませんか。

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ハミングツアーでは、

鶴岡の食を楽しむツアーを1年を通じて企画します。


<協力>鶴岡市 企画部食文化創造都市推進課

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